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ちらし寿司と紅灯の華

 打ち合わせの帰り、二本木の『東庵』に寄ってちらし寿司をテークアウトした。「おまけしておきましたよ、福永さん」とご主人。いつもありがたい。

 母には巻きずしを巻いてもらった。店を出るとき、まだ仕事に追われているKABの女帝・かおりんに差し入れしてあげればよかったな…と思うも、今頃会議でガンガンやってるのだと思うと、またまた顔を出すのも迷惑だろうと二本木を後にした。

 この二本木という町の匂いが好きだ。かつて、白川と坪井川に挟まれた一角に咲いた郭の紅灯。ちらし寿司を作っていただく間、すでに暗くなった町の気配を目を閉じて感じてみる。『東庵』の店のその場所から思いをワープしてみる。

 どこかから流れる三味線の音、男女の入れ混ざった笑い、路地の足音、猫の鳴き声、停車してきしむブレーキの音、お店に注文を入れに来る女の声…。目を閉じれば、今にもその情景がそこに浮かびあがってくるようだ。

 『花一代』の小説の舞台に選んだのも、そういった臭覚や聴覚に導かれてのこと。それが何だか前世からの縁(えにし)のように感じてならない。

 物語を書き進んでいく途中で、郭を描く画家の古場田先生とこの店のご主人にいろいろと教えてもらった。他にも、いろんな方々に資料をご提供いただいたり、話を伝え聞いたりして多くの人に支えていただき『花一代』の原型をつくらせてもらった。とてもありがたかった。そう思えば、この町との深い関わりをあらためて知るのである。

 帰宅して日本酒とちらし寿司で一杯やった。一日、原稿仕事に追われ、打ち合わせに追われ、めまいがしそうに忙しかったけれど、おいしいお寿司を頬ばりながら、思いは紅灯の華の中に引き込まれていくのである…。

Photo
『東庵』のちらし寿司。ウニやらホタテやら、おまけしてもらった。「お仕事がんばってくださいね」とご主人。感謝、感謝。

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おいしいもの」カテゴリの記事

コメント

我家も夕べはちらし寿司でした。
・・・といっても、手抜きのすし太郎ですが。bleah

投稿: マドレーヌ | 2011年2月17日 (木) 09時07分

(*^.^*)おはようございます。
二本木は車で通り過ぎることが多いので、今度は歩きながら味わいたいと思いました。かずさんの文章に因って「東雲楼」という単語でしか知らなかった町が浮かんで来るような気がします。写真に因ってちらし寿司も味わいたくなりますがdelicious

投稿: miy | 2011年2月17日 (木) 09時37分

ありがとうございます。
思い出していただいたことに感激です♪

例のビジュアル、よろしくお願いします。
彼らの思いをなんとか形にして、一刻も早く世に出してあげたいと思います。
スタンバイはOK!です。

投稿: かおりん♪ | 2011年2月17日 (木) 11時06分

忙しいことはいい事です。
がんばれ~!!
頭の端っこにでも”どがんかしてやる”って気持ちがうれしいです。sweat02
近々陣中見舞いをもって励ましに行きます。
        ストーカーより

投稿: そがんそがん | 2011年2月17日 (木) 13時06分

<マドレーヌさんへ>
お料理上手なマドレーヌさんの食卓って
幸せがいっぱいなんでしょうね。

私は毎晩、酔いどれてますが…(笑)

投稿: かずこ | 2011年2月17日 (木) 19時31分

<miyさんへ>
ゆっくりと耳と心を澄ませて歩くと
二本木という街は多くの想像をくれるところです。
『東庵』のしょう油ちゃんぽんもおいしいですよ!

投稿: かずこ | 2011年2月17日 (木) 19時33分

<かおりんへ>
待っててね。今、取材から帰ったばかりだけど、
すぐに、すぐに、ビジュアル送るけんね。
がんばってね!!
ステキなお仕事、応援してるけんね!
って、かおりん、かっこえー!!

投稿: かずこ | 2011年2月17日 (木) 19時34分

<そがんそがんへ>
待っててね。もうすぐ、もうすぐで
どーにかお手伝いできるけんね。

それまで、お口を押さえて
おりこうにして、息を殺しててね。

投稿: かずこ | 2011年2月17日 (木) 19時36分

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