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タイ心象風景

 タイでのことが、ずっと前のことのように感じられる。たった先週のことなのに。人の記憶の賞味期限なんてあっという間に過ぎるものだとつくづく思う。

 寺院や食べ物、陽気な人たちとの触れあいもいい思い出だが、脳裏に浮かぶのは、観光地のそれではなく、移動中の車窓から見た路上の暮らしのシーンばかり。
 車のほこりの中で商売をする屋台、沿道にたまった泥、錆びたビルのシャッター、あちらこちらに祀られている神様、昼寝するイヌ、トラックの荷台に乗った人たち、水上の家。それは旅の移動中に眺めた景色だ。どれもどんなに似たような景色であってもつい心ひかれるのは、そこに息づく命のパワーを感じるからだろう。

 水上に建つ家などは、川の水があふれたらたちまち流されてしまいそうな安普請。木の支柱はそのうち水に腐れるのではないだろうか。畑と思えば浮き草の群生で、川で洗っただろう洗濯物が軒下に乱雑に干してある。それでもその場所を慈しみ、ならされて暮らす人たちの習慣こそをのぞいてみたいと思うのだ。

 小さな屋台を切り盛りする女たちの1日につきあってみたい。路上でバナナの皮で作ったおもちゃを売る一家の事情を知りたい。繁華街で妖しげな商売をする男たちの昼の顔はどんなものなのだろう。海外では1日も経てば、目がすぐに慣れる。慣れてくると、路上に放たれる匂いの根源こそを見たくなってくるのだ。

 気まぐれに立ち寄り忍び込んで写真に切り撮りたい場所はいくつもあった。「車をとめてください」とはなかなか言えず、通り過ぎた風景はいくつもあった。

 いつもそうやって旅から戻ると、一人でに心残りを痛感するのである。

Photo 船の上で食べ物を売る女性たち。水上でバランスをとりながら、客の注文のオーダーを見事にこなす。

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路上でおかずを売る一家。タイの人たちは家で食事を作る人が少なくて、こうした屋台でおかずを買ってかえる。おじさんの手際の良さにしばらくみとれていた。

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水上の家で暮らす人たち。建物は雑然としているけれど、実にのんびりと暮らしている。

Photo_4 長い距離を移動した。車窓の中からとらえた景色。殺風景な町をいくつも通り過ぎた。

Photo_5ミゼット。数台並んでいる。この車を懐かしいと思う人もいるだろう。

Photo_6
移動の途中でとめてもらって撮影した塩を売る店。辺りには塩田が広がる。

Jpg商売の途中に食事をするおばあちゃん。食べてる昼食は、出前なのか、家からもってきたものなのか。そんな単純なことを知りたくなる。

Photo_7

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コメント

confidentタイは行ったことないけど、バリの下町の風景にそっくりですね。生きるエネルギーを感じたことを思いだしました。
日々の暮らしの中にこその真実は、私のこの手の中にあって、そんな事を感じながら、野菜を洗ったり、刻んだり、ピアノ弾いたりしています。愛しい毎日ですshine

投稿: ちかちか | 2011年2月 1日 (火) 14時47分

<ちかちかさんへ>
パリの下町にある春巻きを売る店、
パン屋と一緒になった総菜屋、
古いビルにある薬局の前の路肩には
煙草の吸い殻や枯葉が吹きだまりになって。
タイの光景とパリのそれは、
とても良く似ています。

いずれも、そこに住む人たちの匂いがします。

投稿: かずこ | 2011年2月 1日 (火) 17時17分

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