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牛深の温度

 牛深は行くたびに好きになる町である。今回は牛深のお雑煮を取材してきた。漁師町らしく「しんじゅご」という魚の骨でダシをとり、その身は具材となる。雑煮の具材は他にイカやこんにゃくニンジンゴボウが入っていて、しんじゅごのダシの風味と具のエキスがあいまって、それはそれはおいしい。おもわずおかわりする。

 牛深ではいつも『勝三』に世話になる。モリケンのマブダチで網元のご子息である。「かつぞー!牛深行っからねーっ!」と電話を入れると「天草五橋を爆破しておく…」といつも憎まれ口を言う。「森が連れてくるヤツはろくなヤツがいない。中でも…」と私に冷たい視線を送るが全然気にしないのだ。かつぞーは、とっても忙しいのに取材に同行してくれたり牛深を案内してくれる優しい男なのである。

 取材を終えて『せどわ』を歩いてみた。人が一人歩けるだけの狭い路地の中に民家がぎっしりと軒を連ねている。まさに迷路。よそ者は迷ってしまう。

 こういう造りになっているのは、山からすぐ海だという牛深にあって、平地が少なかったためにギュウギュウ詰めの住宅地になってしまったのと、もうひとつは連絡網としての役目もある。
 船出の時刻や作業内容が家の窓から窓へと知らされ、家で待つ者には帰港の時刻が知らされる。ご近所といっても親族のようなつきあいが昔から営まれているのだ。

 みなさん本当におおらか。温暖な気候がそうさせるのだろうが、こういう『せどわ』という独特の集落が成り立つのは何より、牛深の土地柄がなせるものなのだと思う。

 昔のようにイワシが捕れなくても「またイワシはやって来る」と笑える豊かさ。人々は『牛深ハイヤ』を踊り歌い継ぎながら、かつての賑わいの再来を待っている。

1jpg_5 ブルーと黄色のコントラストに惹きつけられる。奥の自転車の色までもブルー。

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たわし、ホース、石鹸、バケツ、まな板。漁からの戦利品をここでさばくのだろうか。きっと、昔から変わらぬ配置だと思う。何気ない日々の営みがうらやましく映る。

5_4 せどわの配線。共有する、つながる。暮らしの線。

4 無心に路地にレンズを向けるモリケン。

Photo_7 隣人の暮らしの音と共に暮らす。笑いもケンカもみんな筒抜け。「音」が日々の元気を伝える。

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モリケンのマブダチのかつぞー。憎まれ口をききながらも、こうして取材につきあってくれる。裕次郎のようでしょ。いい男です、かつぞーは。

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牛深には不思議とカモメがいない。港を旋回するのはトンビ。牛深漁港の「太さとたくましさ」を知る。

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薄曇りの港。帰港した船が波に押されてチャプチャプと浮かんで。

Photo_4
ハイヤ大橋。見事なまでの美しい曲線。来る度に何度も走ってみる。夜ともなると幻想的な灯りがともる。

Jpg
お土産にいただいた牛深のきびなご。刺身と素揚げにして。おいしかった。

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コメント

勝三って(呼び捨てですみません)どこか気品があるよね。行き届いた気配り。
でもどこか変よね~。
いいお嫁さんがみつかりますように。

投稿: そがん そがん | 2010年12月 5日 (日) 17時23分

<そがん そがんへ>
阿蘇から牛深に嫁にいく気合いの入った女の子、おらんどか。

投稿: かずこ | 2010年12月 6日 (月) 14時08分

「せどや」だと思ってた・・・・

投稿: ちかちか | 2010年12月 7日 (火) 21時10分

<ちかちかさんへ>
「せどや」も正解ですよ。
でも牛深じゃ「せどわ」ちゅーんです。
お勉強になったでしょ。

投稿: かずこ | 2010年12月 8日 (水) 11時03分

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