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2010年8月

駅舎の旅

 鹿児島から人吉と、無人駅舎を訪ねて丸一日かけて取材に行って来た。今回は駅舎の取材なので列車に乗ることはできなかったが、ローカル線ののどかな雰囲気の中で揺られていく人たちを見送るたびに羨ましくなる。

 圧巻は「一勝地駅」で待ったSL。シューポッ!ポッポー!真っ白な蒸気をあげてSLが停車場に入ってくる姿を見れば、「鉄ちゃん」でもないのに涙が出そうなくらい感動する。

 来春には九州新幹線が開通し、はて、どこに行こうか、どんな旅をしようか、と多くの期待が寄せられているけれど、こんなゆるい列車の旅もいいものだと思う。

 幼い頃、父と二人で別府までよく列車旅をした。何よりの楽しみだったのが駅弁、そして、へにゃへにゃになるポリ容器のお茶を飲むことだった。温かいお茶が入っているからへにゃへにゃになって、列車がゴトゴト揺れるので飲むのが大変だったけれど、駅であのお茶とお弁当を買ってもらうと、「さぁ旅が始まる!」と子ども心にワクワクしたものだった。
 父に「楽天地で遊べる?あひるの競争していい?お人形さん買ってくれる?」といろんな約束をかわしながら、移り行く車窓を眺めて過ごした。いい時間だったな。

 故郷に息づく駅の光景にたっぷりと癒やされてきた。この詳細は、9月23日(木)発行の熊日新聞の「美齢世代」にてご一読くだされ。

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鹿児島の「嘉例川駅」から取材スタート。100年は経っている駅舎。多くの観光客がこの駅舎を見ようと立ち寄る。浅田次郎の『鉄道員 ぽっぽや』に出てきそうな駅舎。

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「嘉例川駅」のジノラマ。来る人、去る人、ここで待つ人。多くの物語を思う。

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天才!阿部サダヲの「中村屋」

 死ぬほど笑えるネタを入手。阿部サダヲの「中村屋」だ。腹がよじれるほど笑える。どーにも涙がとまらない。落ち込んだ日には最高!何度でもお楽しみください。

 

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etu

 土曜日、阿蘇一の宮町にある『etu』というお店にうかがった。ここは、ずっと訪ねたかったところで、雑貨やアンティークも楽しみだが、明治から昭和にかけて洋裁学校があった場所で、当時のままの校舎を見ることが出来る、それが一番の目的だった。

 いざ、校舎の中へ。過去の気配がする。目を閉じ、この洋裁学校へ通っていた女学生たちのいろんな笑顔を想像してみる。そして、上がり框をゆっくりと入って行った。

 少し柔らかくなった日差しが窓から注ぎ、秋風が教室に渡る。ガラスの風鈴の音が響く。なんてステキな空間なのだろう。
 シャッターを切りたくなる。遠くにいらっしゃるオーナーの方に「写真を撮ってもいいですか?」というポーズを送ると、なぜか私に笑顔で手を振ってらっしゃる。へっ?

 よーくよーく見ると(乱視なので)、あれ?美樹ちゃんじゃない?一体…なして?

 「かずさん!お元気でした?」と橋本美樹さんの相変わらず優しい笑顔。3年前に『etu』をオープンさせたこと。亡き校長先生の名前から『etu』と名付けたこと。お嬢ちゃんの話、互いの友人の近況などなど、話せば長くなる話で盛り上がる。それに、お向かいにある『Tien Tien』のオーナーの真由美ちゃんも知り合いで、懐かしい再会を大喜びしてくれた。

 「かずさん、ここ、どうですか?」と美樹ちゃんが尋ねる。
 「止まっていた時間が再び流れ出したようで、当時ここに通っていた方々の思いも共にある気がするよ」と伝えると、美樹ちゃんはとても喜んでくれた。この店を訪れるどのお客様も、おしゃれなセンスをお持ちのようで、佇む気配がそれを教えてくれる。

 行きたかった理由がよくわかった。きっと、大切な知り合いと再会させてもらうためだったのだ。今度は、何かおいしいものを持っていってあげよう。私もゆっくりと癒やされよう。

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洋裁学校跡にオープンした『etu』。かつて、ここで楽しく洋裁を学んでいた女学生たちの思いが匂い立つようである。

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ガラス作家さんの作品。ガラスに緑が写り込んでキラキラと輝く。

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真ん中のソファに座って、ゆっくりと美樹ちゃんと昔話に興じた。

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ヨーロッパのノミの市にありそうなホーローのキッチングッズ。ここに置いてある全てのものが息を吹き返しているよう。

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『etu』のカフェのキッチン。裏からパチリ。美樹ちゃんのセンスが漂っている。

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学校給食で使われていたポット。小さい手で脱脂粉乳を注いだ日のことを思い出す。私が小学1年生のとき、脱脂粉乳を飲んだ記憶がある。

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美樹ちゃんが出してくれた生菓子。食べるのがもったいないほど可愛らしかった。

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『Tien Tien』。このテーブルでお茶やランチをいただくと、よりおいしく感じるだろう。

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「ソファにフランスのリネンをかぶせたら、すごく良い雰囲気になりました」とオーナーの真由美ちゃん。彼女曰く、「ここの空間が何より大好き」。わかる、わかる。

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おいしいお茶とお菓子、そして食事も楽しめる『Tien Tien』。ぜひ、訪ねてみてください。

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『etu』の奥にあるお店『robin』の愛犬、ロール君。まだ7ヵ月だとゆーのに大きいのなんのって。「笑顔ください」と言うとこのスマイル。人なつっこくて愛らしいコだった。

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カワハラ

 可愛い妹分と久々に会った。カワハラ。現在は結婚し、N石になっている。4歳になるきゃわいいお嬢ちゃんのNちゃんがいるが、この子が、カワハラそっくり。カワハラのお父さんとカワハラがそっくりで、孫もそう。三つ子シリーズを見ているようだ。

 久しぶりに会っても、0,5秒もせずして昔とかわらぬ互いのリズムに戻る。過去、私の部下でこんなにふてぶてしい女は類をみなかった。ほとんどの子が、「かずさん、大丈夫ですか?かずさん、私がやります。かずさん、無理をしないでください」といたわってくれた中、カワハラだけは私に唯一、世話をさせた女の子だ。

 彼女との取材の運転はもちろん当時編集長だった私が引き受けた。取材を終えて編集室に戻ってきた彼女にお茶を出してあげたり、お菓子をこっそりカワハラのためにとっておいてあげたり、とにかく甲斐甲斐しく世話をしたものだ。

 原稿チェックをすると、「かずさん、早くしてよ!」とカワハラから突きつけられる始末で、当時、怒りまくっていた私にみんなピリピリしていたが、こいつだけが脳天気にやってきた。

 カワハラは、どうにも可愛くて仕方なかったスタッフだった。こいつだけには、なぜか私は弱かった。お母さんが亡くなったとき、細い彼女の背中を抱きしめ、お母さんの分も愛してあげたいと心に決めたことだったが、どうやら、愛してもらったのは私の方だったようだ。

 昔と同じよーに、「『たこやき』してごらん」とゆーと、早速ほっぺをつまんだカワハラ。昔よりたこやきが大きくなったようだ。それが今の彼女の幸せの証であることと喜び、嬉しくて可愛くてたまらなくシャッターを切った。

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「きゃーも、ブログに載せんでよー、もー!」と言いながら、「たこやき」を作るカワハラ。こいつと話すと、心がゆるむ。

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醤(ひしお)のちゃんぽん

 熊本市坪井、仁王山通りにあるおいしいレストラン『醤(ひしお)』。木野さんとやんべの行きつけのお店で、連れていってもらって以来、すっかりファンになった。しかし夜ばっかりお邪魔して飲んだくれているので、ここが「ちゃんぽんの名店」ということをご紹介していなかった。実は今日、アシスタントのえっちゃんがちゃんぽんの取材に行くというので私も一緒にうかがった。

 撮影のちゃんぽんを作ってもらうが、すぐそばからおいしい香りが流れてきてたまらない。あ゛ー食べてぇー!!うまそー!

 そんな美味なる一杯が完成しいざ撮影!となったとき、ご主人が「もう一杯作らせて」とまた厨房へ。野菜の盛り方が気に入らなかったようだ。見た目には全く差異はないのだが、プロからすると妥協できないのだろう。

 気になるのは余ったその一杯だった。あろうことか私は、「これどーするの?」と尋ねる間もなくスープをすすっていた…。気がついたらレンゲを手にし、スープを口へと運んでいたのだ。しかも立ったまま。「おいしか〜、おいしか〜」と一点を見つめる私。ついにボケたか…とアシスタントは思ったらしい。

 奥さんが取り茶碗とお水を用意してくれる。テーブルに座って本気で食べ始める私。取材中にもかかわらず、マジ食いしたのは二十数年この稼業をやってて初めてかもしれない。それくらいおいしいちゃんぽんなのだ。なのに実は今回、写真がない。

 「食べる前に撮るっ!」は、ブログの鉄則であった…。失敗、失敗。

(ひしお)熊本市坪井2丁目1-5Nビル1F ℡096-346-5235 営/11時30分〜14時30分 お休み/第2・4木曜日
ご主人のブログも面白い!ぜひ立ち寄ってみてください。→「

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醤(ひしお)のご主人、田中成佳(まさよし)さんと奥様のたかこさん。とってもステキなご夫婦です。思わずどんぶりにかぶりついて、ちゃんぽんの写真を撮り忘れてしまった。友人でこの店の常連のやんべ曰く、「ここのつけ麺も最高!一度食べたらやられてしまう。言葉にならないおいしさ!」だとか。今度は、つけ麺だいっ!

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秋風

 少し気が早いような気もするけど、秋が来たような…。ゆうべから今朝の午前中にかけて、熊本には涼しい風が吹いている。曇り空だが、少しだけ高くなっているようだ。あぁ、このまま秋に突入してくれないかな…と思う。

 秋は大好き。感傷的になれるから(日頃から大笑いすることはあっても、心が切なくなることは皆無)。こんな風を感じると、思い出をギュッと抱きしめたくなる。

 ブログをやっているおかげで、去年の今頃はどこで何をしていたのかを思い出せる。ブツブツ文句を言いながら沖縄に2回も行ったな、何を食ったな、あの人と飲みに行ったな、などとアルバムをめくるようで楽しい。

 自分が思うほど記憶って定かではない。一日なんてあっという間、一週間も一ヶ月も一年もそう。だから、くだらなくても、こうしてブログに記録するのは意味がある気がする。
 まだブログをやってない方は、さっそく始めたらどうだろう。記録するものはなんでもいいと思う。なんにもなかった…なんてことはただの一日だってないのだから。てらうことなく自分の人生の1ページを書き綴ってみたらどうだろう。

 そのときはお知らせくださいね。リンクさせてくださいまし。

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少し冷たい風に、秋を想う。なんだかとても、函館に行きたくなった…。

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無花果(いちじく)の天ぷら

 夏から秋にかけて、今が旬の無花果(いちじく)。毎年、この季節になると母が天ぷらにしてくれる。カラッと揚げたてをポン酢でいただくのだが、甘い果実の風味と衣、そしてポン酢の酸味があいまって、実においしい。夕べ、早速食べた。

 「無花果」と書いて「いちじく」と読む。そもそもなんでこういう名前がついているかとゆーと、花を咲かせずに実をつけるように見えるからだとか。
 けれど、ちゃんと花は咲いている。花嚢(かのう)といって、一見、無花果の実かしらん?と思われる青い実の裏に無数の花をつけているそうで、珍しい花のつけ方をする植物らしい。それでも甘くて鼻腔に抜ける独特の香りに、晩夏の匂いを思う。

 ドライフルーツやケーキやお菓子によく用いられるけれど、我が家ではもっぱら天ぷらにしている。母曰く、衣に塩を入れるのがポイント。無花果の甘みと衣の塩分で味にまとまりが出るそうな。

 ともあれ、無花果の季節になりました。今年もさんざん食べるつもり。この果物を満喫した後には静かに秋がやって来る…。

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よく熟した無花果。皮をむいているそばから食べたくなるが、我慢…。

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カリッとした衣と無花果の甘み。そこへポン酢を落としていただくと、えもいわれぬおいしさにござんす。ぜひ、お試しあれ!

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髙木さんとみおさん

 『あれんじ』の仕事をご一緒している、髙木さんとみおさん。合わせると髙木みお、どっかで聞いたことのある名前だと思ったら、女優に高木美保というのがいたな。

 みおさんは同級生。「私はまだホットフラッシュにはなってない!」と更年期障害をちらほら心配する私に対していつも若ぶる。先日、冷蔵庫が壊れたと夜中に大騒ぎし、お酒の入ったいい気分の旦那さんに「コンビニまで氷を買いに行って来い!」と命令したと豪語していた。見た目はいとも繊細のようだが、実はぶっとい女性である、というのが最近判明した。

 髙木さんは広告代理店の方。以前、ブログでもご紹介したが、クリスチャンで空手家でとってもダンディ。仕事のミスをいつもかばってくれて、迷惑かけているのはこっちなのに、ミスで落ち込んだ私を励ましてくれる心の優しい方である。
 髙木さんのように、影となり黒子となり人を一生懸命支えるって、仕事の競い合いのような人生を生きてる私には決して真似できないことだ。

 このところ、髙木さんのような方となぜご縁があったかと、その意味を真摯に受け止めるようにしている。神様は自分にないものをお与えくださる。人のために尽力するとはこういうことなのだ、ということを髙木さんを通じて教えてくれているのだと思う。
 だからおとといの昼間、おじいさんが道に座り込んでいたときもすかさず「大丈夫ですか」と駆け寄り、「お家まで車で送りましょうか」と声をかけてあげた。勿論、身なりのいいおじいさんだったからである…。助けたお礼はたっぷりと…いかん、いかん。まだまだ修行が足らんようだ。アーメン。

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降版を終えたばかりの髙木さんとみおさん。不思議なことに、『あれんじ』ではまだミスが起きてない…。創刊して5ヵ月余り、これは奇跡かもしれない…。「お前と違って、みなさんがきちんとちゃんと仕事をやっておられるからだっ!」と神の声が聞こえた気がした。

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寿司

 昨日は、日頃からお世話になっている仕事先のお偉い方々が、イベントの途中で我が家に立ち寄られることになり、おもてなしに終始した。

 たいしたものはご用意できなかったが、寿司は特上にした。『味良(みよし)』(熊本市健軍町)の寿司をいつもお願いしている。従兄弟のごひいきの店で、一度連れて行ってもらい、以来気に入っている。

 お客様のお昼にとった出前は、真エビ、数の子、イクラ、ウニ、穴子などなどいつもより豪華版。イカは包丁の芸術ともいうべく、クルクルと身がはねていて花のようであり、波のようであり。エビのバッテラも入れてくれ、これがおいしのなんのって。

 ごくたまにお店でいただこともある。カウンターで刺身や料理をつまんで一杯やると、後から寿司が入らなくなってしまうが、それでもウニは食べて帰る。

 いつも、夏から秋にかけて、寿司屋に行きたくなる。土瓶蒸しや茶碗蒸しの銀杏を食べると、いち早く秋が訪れた気がして。「旬の物が命」の寿司屋は、季節を先取りする。だから、まだ暑いうちに秋が恋しいときは寿司屋に行くに限る。それに、街中の寿司屋だと「じゃ、次の店に行こうか」と気ぜわしくなるが、家からそう遠くない距離の寿司屋だと、ゆっくりと腰をすえることができるのがいい。
 この秋は、『味良(みよし)』通いするのもいい。今夜、一杯やりに行こうかな。

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食べた食べた。お客様と一緒に、「おいしい!おいしい!」と連呼して頬ばった。昼から特上握りを食べるのはいい。人生を謳歌している気になる。

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イカが波のようにはねている。きれいである。手前のエビのバッテラは最高!酢飯が他の握りの酸味とは異なっていて、丁寧な仕事ぶりがわかる。

Jpg バカラのグラスで焼酎を。シャンパンもあけた。昼からベロベロになった。幸せな一日だった。

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逮捕劇

 ピンポンダッシュをやられた。我が家は小・中学校の通学路にあり、この辺りでは呼び鈴のある家は少なく、かっこうの的である。

 ピンポーン!「は〜い」とドアを開けても誰もいない。いたずらなんだから…と思うも、数十回もやられると、「なめたことをしやがって」と顔の見えぬ犯人にただならぬ怒りが覚えるものなのだ。しかも原稿書いてるときにやられると、はらわたが煮えくりかえる。ゆえに、私は本格的捜査に着手することにした。

 犯人は中学生とみた。犯行時刻を下校時間に絞るも、部活組と下校組で時間はバラバラ。私の気の遠くなるような捜査が始まった。

 それは捜査開始2日目の夕方だった。ピンポーン!おっ、ついにきやがったな!と勢い余ってドアを開けるも、すでに犯人はいない。なんという早業。結局、取り逃がした。後日もやられるが、2階の仕事場から走ってきては間に合わず、実に難攻不落。
 そんなある日、母が下校途中の男子たちを指さし、「あの子のような気がする」と言い出した。ピンポンダッシュをされた後で見かけた、ちょっと太めの男子が犯人かもしれない…と言うのだ。こうなったら職務質問でいくしかない。

 その子を含む中学2年の男子生徒5人に、「君たち!」と呼び止めた。すると、「お、俺たちのことですか…?」とヤツらの目がビョヨヨーンと泳いだ。星かもしれない…。
 「ピンポンダッシュした犯人を捜してるんだけど、誰か心当たりはない?」と尋ねると、みんな挙動不審にブルブルと首を横に異常に大きく振る。どうやら、大当たりのようだ。しかし、なかなか誰も口を割らない。尋問をあぐねていると、そのうちの一人が、「あの、もう俺たち家に帰らないといけないので、行ってもいいですかっ!」と生意気にも迷惑そうな顔で意見して、私の逆鱗に触れてしまった…。

 やおら私は、「うちのガラス戸には家紋が入ってるでしょう。ほれ、あれあれ」とリビングのガラス戸を指さした。それは、湯布院の「おやど 二本の葦束」のインテリアを真似て作った我が家のオリジナルのガラス戸である。

 「あれって普通のお家にはなかなかないんだがねぇ。その意味わかる?」と迫る。と、みんな「わかりません…」と下向き加減に口をつぐんだ。
 「ほう、なら教えてやろうか。あれは、ヤクザさんのお家によくあるものだぜ!」と語尾に力をいれドスをきかせてギラリと睨む。たちまち、やつらは涙目になった。おし、もうあと少しだ。すでに、最後の落としゼリフは用意してあった。

 「ここで白状したら警察にも学校にも言わない。けど、もし嘘をついたら…、ほれあの家紋が意味するように…」と次を告げようとしたら、「っ、やりました!」とついに全落ちした。
 聴取すると、なんでも5人組で犯行を行っていたらしい。一人が呼び鈴を押しもう一人が自転車で待機し、そいつを乗せて即逃げる。残りの3人は、はす向かいの道路を歩き、もし呼び止められたら「知りません、見かけてません」と犯行をもみ消す役だったらしい。

 「お前ら、そんな頭脳使うくらいなら、がっこのべんきょーせー!」とゲンコツかませて、「もうしません」の誓約書を書かせることにした。母が急いで持ってきたのは自分の日記帳。ま、いいか…と母の日記帳に署名をさせ、「今度やったら殺す…」と脅して帰した。
 もうピンポンダッシュするヤツはいなくなった。けど、もしかしたら中学校では、我が家は「あそこん家はヤクザだから要注意」というおふれが回っているかもしれない。

 平和が続いたある日のことだった。ピンポーン!となるも、玄関には誰もいない…。再発か!と飛び出すと、なんと、スタッフのえっちゃんのばーちゃんが野菜を持って立っていた。あんまり小さいので姿が見えなかったのだ。
 その数日後だった。近所のコンビニでピンポンダッシュの主犯格の男子に再会した。なんだか懐かしくて、「よっ、ピンポン!」と声をかけると、彼は指1本口に当て、「シーッ」と言い、辺りをキョロキョロと見回しあわてて去っていった。

 やはり、私たちは「玄人の家の人」と思われているようだ…。

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ピンポンダッシュ とらえてみれば ヒマとなり

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山都町の名物ラーメン

 熊本の山間にある町、山都町にすごい人気を誇るラーメンがあると聞いて取材にうかがった。『おちかラーメン』。昔ながらのラーメン屋さんで、とんこつしょう油スープのラーメンである。

 実は私、とんこつラーメンは苦手。あの独特の鼻にストレートにくる動物系の香りがダメなのだ。最初の一口はどうにか大丈夫だが、たいがいが2、3口でギブアップ。しかし、『おちかラーメン』のラーメンは思わず「おいしい!」と唸り、最後までフィニッシュできた。

 しつこくない。でも、あっさりでもない。あの独特の香りが気にならない、いや、さほど香らない。麺の量もほどよく、チャーシューなんかは4枚ものっかっていて、ゆで卵も半分の大きさ。一杯を丁寧に丁寧に作ってあるのがよく伝わる味だ。
 店の名前の由来は、看板娘のお母さんの名前から。優しいお父さんと愛想のいいお母さんが切り盛りしてて、ひっきりなしに客がやって来る。旅行ガイド本を片手に店に入ってくる旅の客も多くて、その一杯のラーメンをいただけば、熊本と言えども宮崎県に近いこの店までわざわざやって来る理由もうなづける。

 私にしては珍しくハマったとんこつラーメンである。ぜひ、食べに行ってみてください。本当においしいです。『おちかラーメン』は、山都町(旧矢部町)の通潤橋に向かう商店街の通りにある郵便局から入る。これで1杯500円は安い!

Photo 『おちかラーメン』のとんこつしょう油ベースのラーメン。男性ならばご飯をオーダーするか、ちょい大盛りでいいかも。女性にはちょうどいい量。スープも最後まで飲んだ。

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橋の写真を撮るモリケンを撮るM田編集長を私が撮る。

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幕末の志士、宮部鼎蔵(みやべていぞう)

 幕末に活躍した志士の一人、宮部鼎蔵(ていぞう)。彼の故郷は私の住む町のお隣の御船町。吉田松陰とは昵懇(じっこん)の仲で、東北旅行にも出かけている。

 宮部は肥後藩の軍学師範で山鹿流軍学を学んでいる。※解説=山鹿流をひらたく言えば「実践的な軍学」らしい。山鹿流陣太鼓は赤穂浪士の討ち入りのときのお馴染みのものだ が、事実はそうではないとか。

 宮部鼎蔵は吉田松陰の影響を受け、尊皇攘夷の信念を強くし京へ向かう。彼は、攘夷派の中心人物であった三条実美(さんじょうさねとみ)から「総 監」を命じられたほどの実力者だったが、公家や会津・薩摩藩のクーデターで三条が長州へ落ちると事態は一変。宮部たちは追い込まれる。

 しかし宮部は京に潜伏し活動していた。そして、襲撃される。あの「池田屋事件」である。宮部は敵に殺されるくらいならと自刃している。45歳だった。

 彼が書いた石碑が、山都町(以前は矢部町)の通潤橋の上のたもとにあった。通潤橋は、水不足の山地の農業を潤すために、この土地の庄屋である布田保之助が建てた水路橋である。宮部は、この布田保之助とも交流があったようだ。

 通潤橋を取材・撮影するために訪れた場所で、思わぬ出会いをしてきた。豪快な放水の様に歓喜する観光客や夏休みの子どもたちの大声を聞きながら、幕末に散った熊本の勇士・宮部鼎蔵の無念を思った。


宮部鼎蔵の書いた石碑。偉大な異人の跡形がここにあることはあまり知られていない。

Jpg 通潤橋の放水の様子。豪快な放物線を描いて、水が流される。現存する水路橋は世界で唯一。素晴らしい我が故郷の遺産である。

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ゆみとみく

 夕べはゆみ姉と愛娘の未来(みく)がやって来た。彼女は今、福岡でヘアーメークを学んでいる。来春のステージは東京でと決まっている。

 この子がかわいいのだ。ハスキーボイスだが、鼻にぬけるような語尾が愛らしい。「かずちゃん」と呼ぶ「ん」が鼻から抜けて、「んむぅ」となる。なんでもそう。「未来、お皿運んで」と言う返事は「うんむぅ」、「おいしいか?」にも「うんむぅ」、「ママ」は「ママんむぅ」という具合だ。

 母親のゆみ姉はベジタリアンだが未来は肉食。小さい頃は「みく」ではなく「にく」と呼ばれていたくらい肉好き。ゆみ姉が持ってきてくれた串カツの豚ヒレやピーマンの肉詰めをバンバン揚げてあげたらバリバリ食った。見ていて気持ちがいい。
 母は「肉、未来ばいっぱい食べやんばい」とワケがわからなくなってしまっていた。

 私とゆみ姉はシャンパン、未来は不二家のピーチネクターのお酒(20歳だから飲ませる)、母は冷茶で乾杯。
 さて、夕べの母のネタはあるお宅のお通夜での話。喪主の挨拶にしんみりとなった母たちだったが、挨拶の「父は苦しむこともなくコロッと逝きました」の「コロッと」にひっかかってしまい、笑いを堪えるのがあれほど苦しいとは思わなんだと吐露すると、ゆみ姉は堪えきれずに泣き笑いし、「あっ、足がつった」とバタバタ。

 私はピンポンダッシュの中学生を逮捕した話。あまりもピンポンダッシュのいたずらがひどいので大捜査をしたことがある(このネタは面白いので後日公開)。その話にもゆみ姉は足をつらせた。その脇でケラケラと肉、いや、未来が笑う。小さい頃からよく見る未来の笑顔だが、お化粧をほどこしていも、その愛らしさは変わらない。

 「帰りたくない、んむぅ…」と後ろ髪を引かれるようにして未来は帰って行った。東京に行くとなると頻繁に会えなくなるけど、また大きく成長して帰ってくると思えば、期待に胸がふくらむ。彼女は母親の跡を継いでヘアーメークアップアーティストになる。それまで私もがんばっていよう。未来と一緒に仕事ができるその日まで。

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小さい頃はお膝の上から離れなかった未来だが、今じゃ、未来の膝の上の方が気持ち良さそう。カメラに向かう二人は顔の引っこめあい。未来より手前に顔を引っ込めようとするゆみ姉に「わーんむぅ、ママずる〜い」と娘。親子だが友だちのような二人。ゆみとみく。二人の名前を並べると絵本のタイトルのようだ。

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がんばれ!九州学院

 昨日は仕事が手につかなかった。熊本県代表の九州学院高校の3回戦の第4試合。実力が高いと評判の鹿児島実業高校との対戦。広告代理店の校正室で原稿校正していても落ち着かない。と、隅にテレビがおいてある。「見ていいーっ?見ていいーっ?」と了解も得ずにスイッチオン。

 3回表で4点の得点。おぉー!強豪相手になかなかやるじゃないか九学。※解説=地元では九州学院高校を『九学(きゅうがく)』と呼んでいる。みんな休まず元気に登校しているが、「きゅうがくの子たち」と言われている。

 いけーっいけーっ!おばちゃんも行くゾー!と熱を入れて応援してると、4回裏に鹿実が3点入れる…、や、やばい。と、5回表で九学またもや得点。ハラハラドキドキだ。8回には7(九)対4(鹿)。鹿実がジワジワと追いついて雲行きがあやしい…。
 この頃には校正は終了。しかし、誰も席を立とうとしない。そこへ、「明日の会議の準備をしますので、退席ください」と言われる。んな殺生な…。

 アシスタントのえっちゃんと、車のテレビで観戦しようと駐車場まで走る。その移動時間は数分だったと思うが、なななんと…7対5になっているではないか。やばい。
 仕事どころではないが、これからタレントの藤本一精くんの事務所での取材がある。どうかそこに移動するまでに勝ち逃げしてくれ!と祈るも、9回裏で同点。嘘だろ…。

 もーこーなると、一精くんを待たせてでも試合の行方を見守るしかない。それに一精くんは九学OBだから、彼も取材どころではないはずだ。

 試合の圧巻は10回の表。キャッチャーの坂井君が渾身の滑り込みを果たすと、下田君が勝ち越しヒットを放ち、念願のベスト8進出。この日ホームランを放った九学の4番打者はまだ1年生の萩原君である。甲子園での1年生4番打者は、あのPL学園の清原以来と言うではないか。考えてみれば、この間まで中学生だったのである。すごいよね。

 勝利を確認し一精くんのところへ。開口の挨拶が、「おめでとう!」「ありがとう!」。取材を終えて、見送る一精くんに車の中から、「ベスト8ゲッチューッ!」と彼がテレビでやるアクションのフリで返すと、「もうー、危ないって、かずさん。前見て運転してよっ!お願い!」とオロオロ。おばちゃんだと思って、心配しすぎ。

 さて、あさっての九学と東海大相模の試合は楽しみだ。仕事している場合じゃない。茶の間で応援、勝利をゲッチューッ!だ。

Photo テレビでお馴染みの藤本一精氏。母校の勝利を喜んでいた。寄付、いっぱい頼むよ!売れっ子タレント!いや、お社長!

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同窓会

 土曜日、中学校の同窓会に行って来た。数十年ぶりに会う同窓生、思った通り、高橋克典や三上博史のような男子はいなかった。

 クラスごとにテーブルが別れており…、幼なじみから「かずこちゃんは1組だったから1組のテーブルよ」とうながされ向かうと、すでに恩師が座っている…と思ったら同窓生だった。頭がズルっと蛍状態だったもので先生と見間違えてしまったのだ。

 「こんにちわ…」と彼。だ、誰だったっけ…?頭が…、いや風貌があまりにも進化(退化)しているのでこうなると「はじめまして」と挨拶せざるを得ない。
 「おう、元気だったか!」とS田君。こいつとはよく遊んだ。いま、自衛隊に勤務しており、日頃から筋肉を鍛えているからだろうか、中年のたるみもなく昔と変わってないのですぐわかる。女子も厚化粧じゃない人は認識できる。中にはダイアナ・ロスやケント・デリカットもいた。次第に目が慣れてくると、懐かしい顔ぶれに心がゆるむ。

 記念撮影や花束贈呈が終わると宴開始。最初は動きがないが、ものの10分もするとそれぞれ、あちらこちらのテーブルへチョコマカと移動していく。
 面白いもので、よくよく観察していると、中学校のときにつるんでいた女子はやっぱり同じ顔ぶれで集まっている。中には、保育園の仲良しの男子と女子の三人組がいて、当時しもべだった男子が今も甲斐甲斐しくそいつらのお酒のお世話をしていて笑った。

 実は、同窓生との接点は少ない。近況も全く知らないので、こういった場で何をどう切り出していいか戸惑う。それでもみんな、テレビやラジオ、紙媒体での私の仕事をいつも見ていてくれているようで、温かい声をかけてくれる。ありがたい。中には何度本業を説明しても、私がタレントをしていると思い込んでいるやつもいて、地元の有名タレントさんのサインをもらってきてくれ、と言い出されて困った…。

 座が解けると、誰もが幼い頃に戻っていた気がする。ドラマの『同窓会』のようにはいかないが、気を許し合った同窓生の笑顔は昔と全く変わっちゃいない。
 二次会では酔いしれた同窓生のデュエットの歌声を聞かされた。「居酒屋」「別れても好きな人」、年がわかるよね。と、「東京ナイトクラブ」が流れてきた。いくらなんでも昭和すぎるだろう、それは…。酔った同窓生が興奮状態で声をかけてくるとつばがペッペとミストのように顔にかかる。おしぼりでガードしながら話を聞き、猛獣の雄叫びにもみくちゃにされて夜の動物園を満喫してきた…。

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今年のお盆は、楽しくも暑苦しかった…。片思いの男子がいなかった中学時代。それでもキラキラと輝かしい思い出が蘇ってくる。校歌を歌えば、多感だったあの頃の自分に再会できたようで、嬉しかった。当日の写真をここにご披露するのは差し控えます。あまりにも凄すぎるから…。

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喫茶店、一人遊び

 仕事の打ち合わせを終えた午後3時、あんまり喉が渇いたので喫茶店に入った。いつもはこういう場合、スタバやカフェに入るのだけれど、なぜかその日は喫茶店だった。上通のアーケード入り口にある『岡田珈琲』。挽き立ての珈琲の香りとカレーの匂いに引かれて階段を上る。

 一人だったので4人がけの席はお店に迷惑だろうと、カウンター席に座った。「アイスコーヒーを」と伝えて辺りを見渡すと、カウンターで一人でお茶をしている人が4組。
 珈琲を飲みながら読書をしているおじさん。遅い昼食をとっているOL、買い物の途中で立ち寄った主婦、メールをしているフリーターと思われる男性。意外と誰でも「一人喫茶」しているものなのだな、と思う。

 こういう場面に出くわすと、ついクセがでる。この喫茶店を舞台にした妄想物語を仕立てたくなる。構成は、4人の客がここに偶然集うまでのストーリーがいいだろう。

 まず、おじさんは定年退職後、久しぶりに会社に顔を出してみたものの、元部下に適当にあしらわれムカつき、喫茶店で頭を冷やしているという設定。元部下に、「誰のおかげでいいポストに座れていると思うんだ!」と言いたいことは山ほどある。

 OLは営業の途中に立ち寄った。昼食がまだだったのと、彼との夜の約束が遅いこともあり、軽い食事をとっている。彼は妻子持ちにしよう。不倫の匂いがした方がいい。

 主婦。買い物の後でひと休み。バーゲンの洋服をいっぱい買ってみたが心の隙間はうまらない。一人息子も自立し旦那に意識が向いた途端、何やら浮気の匂いが。

 フリーターは保険屋を待っている。先日、バイクと車で接触事故を起こした。相手から「事故は内緒にしてくれ」と言われ何やら裏があるとみた。自分のバイクの修理代と当面の生活費をどうやってぶん取るかを相談するつもりである。

 それぞれが抱える悶々とする心の動きを追っていくと、一人の共通の人物に突き当たる。キーマンは、50歳になる男性にしよう。その男性は、実はおじさんの元部下で、OLの不倫相手で、主婦の旦那で、フリーターの事故の相手、とここまでは完璧だ。

 クライマックスは、その彼とみんなの関わりが一気に暴かれるシーン。さて、その重要人物にどんなミステリーを仕掛けようか。うーん迷う。ここが一番の「山」だな…と眼球を右上に集中させて妄想しているところで電話が入った。

 「今、何してるの?」。元気な声のゆみ姉だった…。「あたしはね、これからテレビ局に入るとこ。んもー、スタッフのサポートよ。(長くて中略)あっ、おじさん、そこ右右。じゃね、行ってくるね!」。どうやらタクシーで移動しているようだ。ゆみ姉のメークスタジオはテレビ局の仕事もしているが、本日は大御所が出陣のようだ。

 さんざんしゃべって電話を切られると、おや、OLがいない…、主婦は会計を終えている…、フリーターはトイレ?んもー、おじさん一人じゃ続きができないじゃない!

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喫茶店は琥珀色のイメージがする。そして、このシュガーポットが常備されている。

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一杯のアイスコーヒーで、ずいぶんと楽しませてもらった。

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常連のお客様の珈琲カップだろうか。珈琲の香りとカレーの匂いが漂う『岡田珈琲』。

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Dog Speaks 2010 夏の雲

 熊本のアーティストたちが「命」をテーマに開いた「Dog Speaks 2010 夏の雲」。最終日、ようやく伺うことができた。天上から吊してある限りない犬のオブジェの数は2173個。去年熊本県で殺処分された犬の数だそうだ。風に乗ってキラキラとオブジェが揺れる。その子たちが天国でやっと心置きなく無邪気に駈けているように見えた…。

 陶芸家・許斐良助(介と書いたら本人からクレームがきた)氏の作品は、雲の上に犬や猫たちがたわむれていた。殺処分された多くの子たちが、そんな風に天国で楽しくじゃれていてくれたらと願うばかりだった。

 造形作家のgajuの作品は心を釘付けにした。雲を愛おしそうに抱きしめる少女の姿だった。雲は、多くの亡くなった子たちの魂そのもののような気がした。それは優しく、愛くるしいとばかりに抱いている。人肌を恋しがっていた子たちへの弔いの思いなのだろうか、頬ずりするように、そっと、そっと…。見ていて、涙が出そうになる。

 松永壮氏やgajuや、甲田陽子ちゃんたちとたわいもなく笑い合ってきたものの、本当は胸が痛くて痛くて、少しの間でもそこにいるのがやっとだった…。命がゴミのように捨てられたことを私は直視できなかったのだ。

 彼らの小さな命を守ってあげたい、そうは思っても、手をさしのべてあげられることには限界がある。我が家のネズとタロちゃんも、野良猫が突然家に来て産み落とし、育児放棄された子どもたちだった。みんな女の子で、5匹置き去りにされた。

 ミルクをほ乳瓶で飲ませやっとチョコチョコ走れるようになるまで育てたものの、全員を飼うわけにはいかず、子どものいない友だち夫婦に2匹、知り合いの新婚さんに1匹お願いして泣く泣く別れた。我が家では引き取り手のなかった彼女たちを育てることにした。みんな大切に大切に育ててもらい、とても幸せに暮らしている。
 その子らは幸運だった子たちだ。だからこそ余計に、行き場のない、飼い主のいない孤独な犬や猫たちの最期を思うと、切なくていたたまらない。無力な私にできること。それはこういう活動に賛同することだと思う。

 お盆。天国のあの子たちも還ってきていると思う。今日はみんなのために、器にたっぷりの水を汲んで玄関に置いておいた。お盆還りの道中は喉が渇くだろうから。

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雲を抱いている少女。亡くなった子たちの魂を抱きしめているかのようで。見ていて涙が出そうになった…。gaju、入魂の作品。

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真夏の夜のかぼちゃスープ作り

 この夏にハマっているのが、かぼちゃのスープ。たまたま、野菜籠の中に残っていた坊ちゃんかぼちゃがあった。はて、お煮染めにしようか、お味噌汁にいれようか…とあぐねていたら、スープを作ってみよう!ということになった。

 皮をむいてカット。タマネギをみじん切り。バターでそれらを炒めて、圧力鍋に水と固形ブイヨンを放り込んでプシューッ!普通ならミキサーを使うところだが、棚から取り出すのが面倒で裏ごしにした。
 ペースト状のかぼちゃを別の鍋に移して牛乳と生クリームを加えて、塩こしょうで味付け。冷蔵庫で冷やして、冷製かぼちゃスープの完成。なかなかおいしい。

 母がおいしい!と喜ぶので、「しばらくすると口もきけんで、スープしか食べれんようになるだろうから、あんたが元気なうちに好みのレシピを決めておこうね」と私。

 すると昨日、大量のかぼちゃが台所に置かれてあった。何事ぞ!と思えば、ご近所のおばちゃんたちに、私が作ったかぼちゃスープを試食してもらうから作るようにと母から指示される。
 「私はスープ屋じゃなか!」と反論すると母が、「みなさんも私もいずれスープしか食べれんようになるだろうけん、今のうちに全員の好みの味ば聞いておかんとねぇ」とニタリ顔。やられた。またもや、私の脇は甘かった…。

 おかげで夕べは、ラジオの仕事を終えて帰宅したまま、かぼちゃスープ作りに専念。茶の間には近所のおばちゃんたちがワイワイ。ありえねーっ!
 でも、みなさんから差し入れのおかずとビールがいっぱい届く。一缶ずつ空けながら、おいしいかぼちゃスープを作り続けた夏の夜であった。

 介護食研究家にでもなろうかな…。

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酔っぱらって作るとおいしい!と言われた、かぼちゃのスープ。試食の結果、レシピうんぬんではなく、味づくりのポイントは、「私が酔っぱらっている状態で作ることにあり」ということになった。なんじゃ、それ…。

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コストコ、イットコ

 先週のことだった。湯布院の『二本の葦束』の女将から電話がはいって、なんとなくテンションが低い。たまに、こうして静かなときがある。

 「熊本に行こうかな…」と言うので「熊本は暑い。違うとこ行こうよ」と私。
 ……?「行ってらっしゃい」というつもりが、なぜか「行こうよ」と口に出てしまった。そうなるとお出かけモード。スタッフにスリスリして、母と一緒に女将の待つ福岡へ午後から出かけた。3人の目的は「コストコ」でのお買い物。

 いつ来ても「コストコ」のダイナミックさには驚くばかり。建物も大きいが売られてあるものも量が半端じゃない。母と私でショッピングカートを一台ずつ。女将の律ちゃんは一人で3台。どんどんバリバリ買ってレジのところに駐車するわけで、量も桁外れだが買い物のスピードも目が舞うほど速い。

 「コストコ」で買うべきものはシャンパン。ヴーヴクリコが1本4600円で、モエならば3600円。激安っ!他にも安いシャンパンを数本と、しこたま仕入れた。買い物を車まで運んでくれる男性スタッフに「今夜パーティーですか?」と尋ねられたくらいだ。
 母は「ダウニー」の香りのスプレーを10本も買った。柔軟剤はよく売られているが、香りのスプレーは珍しい。フルーツ籠やアフタヌーンティーセットも購入し、マフィンやクッキーなどアメリカサイズで買うものだからお菓子屋が始められそうだ。

 お茶を飲む時間も惜しんで3人でお買い物ゲーム状態。山ほど買ってすっかりパワフルな律ちゃんに戻ったが、私には原稿仕事が山ほど待っていた…。

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福岡のコストコ。カートも一般のスーパーのものよりグーンと大きい。

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チキンの試食をすすめる律ちゃん。この笑顔、さっきの元気のない電話が嘘のようだ。

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「せっちゃん(節子)とりっちゃん(律子)で、二人は仲良し」って、どんだけ買い物するの、あんたたちっ!

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港町の夕暮れ

 牛深。ハイヤ大橋のライトアップ美に息を呑む。夕暮れ時の牛深の気配はマルセイユの街の印象とかぶり、あの旅のことが懐かしく思い出される。

 港町には同じ匂いがある。そしていつも、夕闇に包まれる頃の時間に漂ってくる。それは日本でもフランスでもノルウェーでも。

 磯の香りが風に乗る、カモメがキィーッと鳴く。空の色が深いブルーからグレーにかわり、暗黒の雲の中にチラホラとのぞいたかと思うと、あとかたもなく消えていく。そして、街灯に灯るオレンジ色の光が辺りを支配するようになると、どうしようもなく郷愁におそわれてしまう。
 やおら夜が訪れると、不思議と心はおさまっていく…。こんな心の緩急を感じるのが旅の醍醐味なのだと思う。

 夕暮れの港町に切なさを感じるのは、そこにある全てのものへの憧れに始まっているからかもしれない。ふらりとどこかへ一人旅をしたくなった。

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牛深、ハイヤ大橋。西の空の色があっという間に変わっていく。雲の間にのぞく深いブルーが美しい。

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牛深の入り江に停泊する船。この夕暮れ時の色合い、どこかで見たような気がしたら、マルセイユの港街だった。もう一度、あの夕暮れどきの絶景を見たい。

1 2年前の春に訪れた北欧のベルゲン。すっかり太陽が沈んだ港街。海に映る灯りにセンチメンタルになった。

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イケてるメンズ

 この年になっても若い男性とイチャイチャしながら仕事ができることは、この上ないヨロコビである。カメラマン、テレビマン、広告代理店マン、プランナー、イベンター、プレス、デザイナーと熊本の漁場(業界)にはいい男がいっぱいいる。
 「かずさん、これ、おいしいですね」「かずさん、荷物持ちますよ」「かずさん、ついて来てますか、大丈夫ですか、かずさん…」
 …近頃は介護状態になっているが。それでも若い男性といるのは楽しい。よく彼女との話を聞かせてもらうが、何と言ってもフラれた話が一番聞き甲斐がある。

 だが、私の本拠地のライターで若くていい男は知らない。見つけたら、即、アシスタントにしようと思っているが、こればかりは、市川海老蔵がルビーの原石を探すのと同じくらい難関なのである。ほとんどが女性ライターだから、ヤラセができるほど仕込みようがない。ただ、私がヤラセをする意味は全くないが。

 先週、グラフ軍団のウッチー(内村友造)と仕事をしたとき、アシスタントカメラマンを連れてきた。「おはようございます」「ウッチー、おは…よ、ゲゲゲッ、イイ男じゃん!」
 いつもならウッチーとハグをして仕事を開始するところだが、そのウッチーをはねのけて駆け寄ったほど、久々にいい男が登場した。

 「いそべ君」。彼の周りをグルリと一周して眺めると、どこから見てもいい男。その辺りのチャラけているガキとは大違い。寡黙で落ち着いていて、何と言っても色気がある。26歳。ドストライク。この年でこうだから、男ぶりが匂う30代ともなるとどうなるんだろう。チョロチョロと水をかけ、じっくり眺めていたい。うひょひょ。

 おっさんたちが、若い女の子がいるだけでデレデレするのを軽蔑したときもあったが、今となればその気持ちがよくわかる。やっぱり男も若くて美男子に限るのだ。うなじから若草のような、青空のような、海原のような香りが漂う。
 クンクン、クンクンと犬のように嗅ぎ回っていたら、少し距離を置かれた…。

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ウッチー(左)といそべ君(右)。いそべ君だが、実物はもっといい男。この間まで、家の事務所では母ちゃんを筆頭に、「ウッチー、ウッチー」と大変なもてなしだったが、いそべ君の登場でアイドル交代。「これ食べなさい、あれ食べなさい」と、いそべ君の前におかずがいっぱい。それにしても、ウッチーの視線がいやらしい…。

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「じゃ二人の横顔、撮らせてねっ!」と言いながら、いそべ君中心に撮っていたらウッチーが、「かずさん、僕入ってる?」とチェックが。見破られたか…、おそるべしカメラマンの勘…。

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ゆみ姉の恋人

 一日一回は電話をかけあう「ゆみ姉」こと、ヘアーメークアップアーティストのおおのゆみこ。お姉と一緒に飲んだら必ず彼女の部屋に泊まる。私たちなんだか恋人みたいだけど、決してレズじゃない。

 泊まりたい理由のひとつは、ゆみ姉の恋人に会うためだ。実は、彼女と一緒に暮らしている男性がいる。
 シャイで無口。優しくしてくれたかと思うと、そっけない。つれなくされて思わずいじけてしまう私に「わりぃ、わりぃ」という顔で、渋々とまたやって来る。女相手の緩急のつけ方が実にうまくて憎い。おなかがぽっちゃりだけど、とても男前である。

 彼の名前はタンゴ。黒猫のタンゴ。「タンゴ−!タンゴー!」と夜中に酔っぱらって暴れるいつもの居候に、「ゲッ、また来やがった…」という顔をする。さんざんいじられくたびれて、ドレッサーの中で隠れて寝ているところを、また私に襲われる。

 こいつが泣かない。やられるときも、撫で撫でされるときも、うんともすんとも言わない。「男は黙ってサッポロビール」を地でやっているような猫である。
 それでも私が帰るとなると寂しいのか、玄関まで後追いする。たまらんでしょ、こんなやつ。今度はカニカマをお土産に持って行ってあげよう。待ってろよ、タンゴ。

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でっぷりしているおなかは、彼のプライドを尊重して写さなんだ。この視線、クールでしょ。ゆみ姉の恋人のタンゴ。セクシーだぜ、あんちゃん。

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ゆみ姉の部屋はパリの香りがする。何気なくおかれた瓶や植物、キャンドル。彼女の豊かなセンスある暮らしがうかがわれる。キレイな生花をいつも飾っている。そんな感性が好き。

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その独特の感覚。リビングの隅のコーナー。ゆみ姉に内緒でこそっと撮影してきた。

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私にはない感覚である。小さい頃から、センスのいいゆみ姉に憧れその後をくっついてきた。教えてもらったことはいっぱい。

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ゆみ姉。これはけっこう酔っぱらってる状態ですな。「かずこ、短パンに履きかえなさい!ほれ、化粧を取って。シャワー浴びなさい、コーヒー飲みなさい。なに、ビールだと?いつまで飲むのっ。もーっ…じゃ、わたしも飲も。はい乾杯!」。自分のペースが人のペースに飲み込まれ、そんな女です、ゆみ姉は。

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旨すぎる、昭和の洋食

 アシスタントのえっちゃんから「取材に同行してください!」と『命令』を受けて運転手をしてきた。取材先が、昔から馴染みのある店だったからもあるが、久しぶりに顔を出すととても喜んでもらえた。

 熊本市戸島にある『レストランホープ』。大きな楠とくるみの木があるお店で、開店して36年だという。当時から味の変わらない手作りのデミグラスソース。これをベースに、おいしい懐かしい洋食を食べさせてくれる。

 一番のおすすめはオムライス。しっかりと鶏肉の入ったチキンライスを卵で包み、ポークソテー、ニンジンのグラッセと焼き野菜の付け合わせがある。このバランスのいいこと。もちろん、味は言うことなし。つーか、はまる。これぞ、昭和の洋食だと思う。何より料理人の頑固なこだわりが今に息づく味である。

 東部市場から戸島方面に進むと右手に大きな二つのシンボルツリーが見えてくる。そこにこそ、旨すぎる味がひそんでいる。思い切ってドアを開けてみてください。感動島倉千代子です。

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これが長年食べているオムライス。ポークソテーのおいしいこと。780円。ハンバーグもおいしい。うちのアシスタントのえっちゃんと菜菜美はこの店が大好き。

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出ました!ナポリタン!お客様の中には、ナポリタンを鉄板の上に乗せて卵を落としてください、というオーダーをする方も。いずれも美味!懐かしく旨すぎる味です。

Photo_2 仕事をするウッチーとえっちゃん。チラリとこちらをのぞくえつこ。仕事、仕事、仕事せー!あたしゃそのとき、店のマスターとパチンコ談義中。

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カフェ nid

 ステキなカフェがオープン。『カフェ nid』(熊本市渡鹿)。「nid=ニド」とは巣作りの意味らしく、その名前の通り、ゆっくりと羽根を休められる空間である。
 住宅&インテリアショップ『コムハウス』のカフェで、田中社長の肝いりでできたお店。前々からお話をうかがっており、ぜひお邪魔したいと思ってて、先日、打ち合わせの帰り、スタッフには内緒でお茶しようと立ち寄ったらお休みだった(水曜日)。やっぱりズルするとバチが当たるな…。

 「どしたの?どしたの?かずさんが来るとは珍しい」と驚いた様子のイチロー似の田中社長。「はいはい、かずさんのお相手はワタクシで」と千年スマイル(いつもニコニコ。ずっとずっと果てしなく笑っててくれそう)で現れたのが『コムハウス』の宇藤君。早速、カフェへと案内してくれた。みなさんいつも優しく迎えてくれるのだ。

 カフェのパスタやサンドイッチなどメニューはどれも抜群においしい。ディレクターが宇藤君(本場イタリア仕込みの料理人)だけに、味のセンスはピカイチ。彼ともつきあいは長い。レシピを以前お願いしたことがあり、我が家のキッチンでお料理作ってもらった際、スタッフや家族の分まで多めにこしらえてくれて、みんなで2日間にわけて大切に大切に食べ尽くしたことがある。おいしかったなー、また来て作ってほしなー。

 『カフェ nid』は可愛い雑貨がいっぱいある。フレンチスタイルとでも言うのだろうか、私の大好きな福岡の『BBBポータース』と似ていて、すっかり気に入った。カフェと雑貨を組み合わせるって意外と難しい。合わせやすそうでいて実はそうじゃない。ただ単に見せりゃいいってもんじゃなく、ディスプレーはもちろん、空気感とのバランスやそこに漂うエスプリなどセンス次第でがらりと変わる。
 そこいくと、『カフェ nid』の感性は抜群!今後、食器類もいろいろ多く取りそろえるとか。皆様、一度足を運んでください。ゆっくりと羽根を休める場所がそこにあります。

コムハウス→http://www.com-haus.net/

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オシャレな生活を彩るステキな雑貨がたくさんあります。

Photo_5 家の母ちゃんが見たら即買いしそうなガラスの瓶もいっぱい。

2jpg 個性的な花瓶も取りそろえて。思わず欲しくなる。

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中上がりの奥のテーブル。ギャラリースペースでもあり、お茶スペースにも。街中にあって静か。

Jpg 『コムハウス』の宇藤君。いつもニッコリといい笑顔。「かずさん家にシャンパンを飲みに行くから!」と宇藤君。おいしいお料理を手土産に持ってきて、待っとるぜ。で、いつ飲む?連絡するよーに。

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隣がお花屋さん。二つのお店のバランスがいい。すごくいい。

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桃のコンポートタルトをごちそうになった。私が煙草を吸うので、みんなテラスへ。汗だくになっても宇藤君の笑顔は千年スマイルだった。向こうにいるのは、グラフのウッチー。「富士山登頂の七合目で食べたカレーがおいしかったです」と言ってた。彼のカレーブログは面白い。そして、ためになる情報がいっぱい。
アクセスは、リンクブログの「The smell of sky」から入ると、彼のカレーブログへ。

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少女漫画

 熊本在住の漫画作家さんを訪ねた。まだ若く、可愛らしい女性である。取材前に作家さんの作品を読んだが、面白い。中高生の女の子たちがコアターゲットであるが、私のようなおばさんだって充分に楽しめる。漫画独特の世界観がかもし出す匂いというものがあって、ページをめくるたびにその匂いに慣れていく。いや、懐かしい匂いを嗅ぎだしていくといったほうが正しいだろう。

 読み終え、はたと指を折ってみた。私は少女漫画を読まなくなってどれくらい経つのだろう…と。かすかな記憶にあるのは、確か…20代の始めに、「くらもちふさこ」さんの作品にハマったのが最後だったような気がする。
 「東京のカサノバ」という作品で、三人兄妹の話。下の兄が好きな妹の恋心を描いたもので、ただのブラコンネタかと思いきや、実は下の兄とは血の繋がらない間柄という構成で読みながら毎週ドキドキしたものだった。

 本棚のどこかにあるかもしれない…と汗だくになって探してみたがない。そのかわりに、中学から高校にかけて大好きだった、陸奥A子のコミック本が見つかった。
 『おしゃべりな瞳』『すこしだけ片思い』『樫の木陰でお昼寝すれば』の三冊。思わず、「ひょえ〜」と歓声を漏らして、ページをめくると、物語があんまり可愛らしすぎてくすぐったい気分になる。けれど次第に読み進めていくと、あの頃片思いしていた先輩のことや、漫画の主人公に似たような男の子をどこかで探していた多感だった頃の自分が蘇ってきた。

 あのときの私がそのまま蘇るように、友だちや好きだった男の子、当時の街の様子、着ていた洋服、バッグ、靴、乗ってたスクーター、手紙、などなどさまざまな記憶のディティールも同時に浮かび上がってきた。思い出の写真などなくても、そんな風に記憶は鮮明に蘇るものだとしみじみ思う。

 少女漫画は私たちの世代の女性にとっては記憶の扉のようなものかもしれない。


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別冊『りぼん』に掲載されていた陸奥A子さんという作家さんの作品。数十年ぶりに引っ張りだしてみて感動。中学の頃夢中になって読みふけり、主人公の女の子になりきって、髪型や着こなしを真似たり、ケーキやクッキーを焼いてみたりしたもんだ。そんな愛らしい時代も私にはあったのだなぁ。

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蛍(火垂)の墓

 灼熱の芦北取材の写真がモリケンから送られてきた。最初の写真データを見るなり、マジで後ずさりしてしまった。題して、M田編集長と私の「蛍(火垂)の墓」。かなり年がいってる節子と清太であるが…。
 このお気楽な二人の姿とあの悲しい物語を引き合いに出すのは申し訳なくて、タイトルはふつうの「蛍」にしてみた。

 二人が首に巻いているのは「首巻きクール」。M田編集長が、熱中症にならないようにと前日に用意したものだったが、せいぜい効いて30分程度。でも、このときまでは曇り空だったので二人ともいたく元気がよかったが、次第に晴天となり。おしゃべりだった二人の口も、とうとう水分しか欲しがらなくなった…。

 「老隊」の夏取材は、他人が思うほど楽じゃない。M田編集長に同行してもらうのは、こういう遠出の過酷な取材のときにしている。だって途中で「帰りたい…」と言い出しかねないから。夏の取材は始まったばかり。さて、次はどこへ同行してもらおうか。いやとは言わせないぜ、編集長。

※ちなみに、M田部長とM田編集長は同一人物です。過去にお問い合わせをいただきましたので、この場を通じて回答いたします。

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船出前の疎開組。『あれんじ』のイメージが壊れなきゃいいが…。撮影=森賢一

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かずこ日和

 日々このブログには、いろんな方に立ち寄っていただいている。さっき一緒だった人、長電話をしたばかりの人、仕事関係の人、そしてまだお会いしていない人。

 過日、乳がんの検診のことを書いたら、親友が「大丈夫だった?」と心配の電話をしてきた。彼女には何も話してなかったので、ブログを見てくれたんだと思っていたら、このブログに立ち寄ってくれている彼女のお友だちからそのことを聞いたという。ありがたかった。

 先日のパーティーでも私のことを「かずさん」と呼んでくれる女性がいて、どこかでお会いしたことがあったのかもしれない…と思っていたら、ブログを見てくれている女性で、とってもキュートな方だった。

 そんな風にこのブログが人から人へと繋がっていき、どこかで私とつながる。初めて会う気がしない。それってなんて素晴らしいことなんだと思う。

 お知り合いではない方が、「初めまして」というメールをよく送ってくださる。「ブログが楽しい」「落ち込んでいたけど笑えました」「あそこの店のはおいしいですか」といった、愛らしいコメントが書かれてあって嬉しくなる。
 でもブログへコメントいただけばいいのに…と思うのだけど、考えてみると、コメントのコーナーに思いを伝えるのは勇気がいるのかもしれない。
 他人の家の茶の間でくっちゃべってる集まりに顔を出すような気持ちになるのだろうか、「入ってみようかな」と思ってもつい足がとまってしまうのかもしれないな。

 せっかくの出会いのチャンス、もったいない。みなさんどうぞ、ご遠慮なくコメントくださいませ。たとえお会いしたことがなくても、ここではすでに仲間です。いただくメールもとっても嬉しいけれど、茶の間で一緒にお茶を飲むのも楽しいものですよ。
 言いたい放題のコメント、つぶやき、何でもお待ちしていますよ。 コメント一覧を見るのが楽しくなりそう。

Photo_3 冷たい粗茶ですが、どうぞ。

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熊本パラダイス

 土曜日の夜は忙しかった。暑い芦北取材を終えた夜、二つのパーティーをかけもちせねばならない。まずは松藤由美ちゃんの「お疲れ様ビックリパーティー」。長年ブティックを経営してきた彼女だったが、ご実家の本業を継ぐことになりこれまでの彼女の労をねぎらったパーティーが開かれた。
 当日ギリギリまで本人には知らされておらず、お母様まで彼女を担いで驚かせた。帰省予定が明日だった愛娘さんが花束を持って登場すると、ジーンときて涙が出た。女三代のステキな親子愛を見させてもらったことだった。

 涙を誘うオープニングが終わると、会場はエンターテインメントの場所と化した。しょっぱなニセ郷ひろみが登場し、魔界から来たような松本伊代が現れ、SMショーはあるわ、年のいったハイジたちが出てくるわ、息つく暇もないほど濃い内容である。

 意匠家の永井直美がマイクを握ったのには驚いた。う、歌うのか…、お前?しかも選曲は「伊勢佐木町ブルース」じゃないか。やるときはやるじゃないか。やっぱり同じ匂いと血が彼女にも脈々と流れていた。
 さて、マルチ評論家の山部文成の出し物は「祭り」。広告代理店時代に磨いたと思われる芸は見る人を飽きさせない。お約束の踊り子たちの応援もあり大受けだ。

 知り合いの出し物が続くと、なんだかイヤな予感がしてきた。やおら流れだした曲が「天城越え」。来たか…と思った。やっぱしな。避けて通るわけにはいかない。やるとなるととことんやる!がモットー。そしてスポットライトの中で私はやっちまった。

 ビックリパーティーは離れがたかったが、おおのゆみこ姉たちが主催する「ゆかたパーティー」にも顔を出さねばならない。エンディングを見届けずに次の会場に向かうも残念なことにすでにパーティーは終了していた。だが残党が近くで飲んでいるらしく、そこへ連行される。ムービーカメラマンの山野氏、ムービー監督の山下氏と吉崎氏が笑顔で待っていた。
 浴衣を着た色っぽいゆみこ姉をはさんで、みんなで楽しいお酒を味わい、帰宅したのは深夜3時を回っていた。実に長い一日だった。

 熊本は楽しい。熊本に生まれて、熊本に暮らして、熊本の仲間を愛して。まさに、熊本パラダイス。愛してやまない私の世界である。みんなに感謝!

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松藤由美ちゃんと。長い間お疲れ様でした。またハードな日々が待っていることでしょうが、才能のある人に休息日はないのだ。持ち前の元気とお笑い芸で次のステージもがんばってね!

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「あーちぃちぃ、あーちぃっ!」。最初に登場したニセ郷ひろみ。「動きが早くてブレてブレて」と撮影したやんべの談。確かに敏速だったよね、腰の振り方…。

Photo_14 世にもおぞましいSMショー。魔界から来た松本伊代の頭にストッキングがかぶされ、あっちこっちに引っ張られる。「ドリフの大爆笑」のようなステージだった…。凄すぎる…。

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上からまーちゃん、右は由美ちゃん、左はおみちゃん。そして私はやっちまった…。

Jpg_9 やんべとおみちゃん。「かず姉、上から撮ってよ、上から」。こういう場所でもアングルを指示する意匠家の永井直美。

2_2 可愛い親子が目の前に。子どもながらに魔界の夜を楽しんでいたようだ。

Jpg_14 浴衣を着た「せいちゃん」があんまり可愛かったので、二人で悩むポーズをしてみた。彼、演技派でしょう。撮影=やんべ

Photo_12 うなじに「苦悩」を表現する演技も試みてみた。撮影=やんべ

Jpg_13 おみちゃんと。やっぱりここでも「やんべ、上から撮って!」と指示していたおみちゃん。女優なみのこだわりのリクエスト。

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「かずこ、遅かったね。次、行くよ!」と二つめのパーティー会場に着くやいなや、次の店に連行される。私たちの興奮をよそに後片付けをする『パレット』のゆきちゃん(右)と、隣からのぞく『山野事務所』の米ちゃん。お疲れ様!

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夏のうたせ船

 土曜日、芦北に行って来た。うたせ船に乗っての遊覧を体験してきた。真夏とはいえ海風を受けてすすむ船の上は思った以上に快適。M田編集長も同行したので、ご老体が熱中症にでもかかったら大変と、「首巻きクール」を2本用意して出かけた。

 とにかく海の男たちはかっこいい。「漁福丸」という船に乗せてもらう。父と息子の親子船、まさに鳥羽一郎の演歌の世界である。うたせ船は帆に風をつかまえて走る昔ながらの漁。「風待ち」「風子(かぜこ)」といった漁師言葉がなんともカッコいい。

 船上でエビやコチ、シャクなどの有明の産物をいただく。何度、サービスで出された焼酎に手を出そうとして思いとどまったことか。飲みたかった〜。

 しかし炎天下の取材はつらい。暑さと発汗で体力が消耗してしまう。これがあと数ヵ月続くかと思うとブルーになるけれど、取材先で出会う人たちとの心の交流は何より。これがあるから、この仕事はやめられないのだ。

 その夜、私は二つのパーティーをブッキングしてしまっていた。いずれも大切な人たちのパーティーだ。かけもちすることになりそうなので、ひとまず帰宅してシャワーを浴び、栄養ドリンクを2本ほど飲んで、夜の戦場に繰り出して行ったのであった。大爆笑の戦場の様子は続いて後ほどご紹介。

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芦北の名物うたせ船。帆をおろして漁がおわったようだ。このうたせ船は、日本では数少なくなった昔ながらの漁である。この貴重な文化を残してほしい。

Jpg_2 須崎満潮さん72歳。海のおとこの顔を見た。「満潮」という、まさに海の男にこそつけられて名前だと感動した。

Jpg_6 ヒイカの煮付け。漁師さんの奥さんが作ってくれたもので、味付け最高!船上の料理は料理屋さんのものだけど、こうして須崎さん家の手作りの味も食べさせてくれるのだ。

Jpg_3 網を引き揚げて本日の成果を見る海の親子。取材の都合で通常より早めに引き揚げられたので、水揚げは少ない。それでもエビやカレイなどが捕れた。

Jpg_4 船の上でごちそうをいただく。足赤エビの塩焼き。足赤エビの踊りもごちそうになった。何しろ、料亭で食べると恐ろしく高い価格らしい。何匹も食べた。

Photo 佐敷海岸の海水浴場で人気の太刀魚丼。芦北名物の太刀魚料理が食べられる。これに煮付けあらの味噌汁、刺身バイキングがついて1500円。嘘のような値段である。

Photo_2 芦北にはカレー街道なるものがあって、いろんなお店で変わり種のカレーが食べられる。『コラッジオ』というイタリアンレストランの焼きカレー。トマトベースのカレーの味とチーズ、真ん中の卵のトロトロ感が最高。芦北町役場のすぐ隣にある。美味!

Jpg_5 芦北牛のおいしい部位を食べてきた。さっと焼いて塩で食べる。あっという間に口の中で溶ける。どんだけ食べても胃にもたれないのだ。芦北、最高!!

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